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Pit Lane Voice

マシン作りの裏話

エアロパーツは冷却&空力性能のバランスが大切だ!

(C)ランサーエボリューションマガジン

ランエボマガジン読者のみなさん、こんにちは。

早くも今年のスーパー耐久シリーズも3戦を消化。鈴鹿ラウンドは思わぬトラブルでクラス7位でのゴールとなり、ランキングも3番手にドロップダウン。無念でした(編集部注:詳細は今号の56ページに掲載しています)。

緊急ピットでの修復に時間がかかったために大切な数周を失い、落とした順位をリカバリーできずに終わってしまいましたが、走行中はA・B・Cドライバー3名ともが非常にハイレベルなラップを刻み続けてくれており、悔しい半面、手ごたえも十分ありました。次戦の「富士ラウンド」はリベンジできるよう頑張りますので、変わらぬ応援よろしくお願いします。

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さて、気を取り直して本題に入ります。今号のお題は「S耐装着用のエアロパーツ開発について」です。

テスト&サービスでは、エボⅣの時代からスーパー耐久シリーズに則したエアロパーツを手がけていますが、振り返れば早11年! 月日が流れるのは本当に早いものです。

もともとスーパー耐久で使用できるエアロパーツは、道交法に適したもの(いわゆる車検対応品)に限られており、同時にだれもが購入可能な価格でなければならないため、製作にあたっての制約(足かせ)があります。また、道交法も年々変化していくため、新しいエアロパーツを開発する際には、そうした情報も事前にキャッチしたうえで、作り上げていかなくてはなりません。同時に、スーパー耐久のレギュレーションでのくくりもあるため、それらの条件を満たしつつ、サーキット走行に適したデザインを作り上げていきます。

現在レギュレーションで許されているエアロパーツは、フロントバンパー・リヤバンパー・サイドステップ・ボンネット・リヤウイングの5カ所。

弊社のオリジナルブランド「バルディ・スポルト」として製品化しているエアロパーツは、純正の持つイメージを極力生かしつつ、なおかつエアロダイナミックスとクーリング性能の向上を目指して作り込みをしています。ランエボを含め昨今の市販車は、純正状態でのエアロダイナミクスも長期にわたる風洞実験などで、かなり煮詰められています。下手に作ると逆に性能ダウンを招く結果となりかねないほど……。ですが量産車という性格上、比較的フラットな路面の高速道路からギャップだらけの一般道まで、さまざまな使い勝手に対応させねばならず、そうなるとすべての道路状況に対応するべく、ロードクリアランスの確保のために車高を落とすことに制限が発生。

また、空力効果があるとわかっていても量産コストを考えると手を出せない形状や、はたまた走行時のみならず、渋滞時の熱害対策まで考慮して作り上げなければなりません。

しかしスーパー耐久での使用を前提した場合、そうした制約をある程度切り離し、フラットな路面を前提とした車高の低い状況での空力に合わせたデザインができるので、よりいっそう高速寄りのエアロダイナミクスに徹した形状を取り入れることができます。

スーパー耐久レース オーリンズランサーチーム監督 山田基裕

山田基裕
Yamada Motohiro
スーパー耐久レース
TSRPランサーチーム監督

スーパー耐久に参戦するレーシングチームを指揮し、ST2クラスのシリーズチャンピオンを幾度となく獲得してきた名監督。サーキットの特徴、当日の路面状況など、多くの要素が複雑に絡み合い、予測することが難しいレースにおいて、冷静な状況判断で巧みにチームをコントロールする。

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